能動的

勢いよく倒れこんだ。それは俺の頭で考えてるように上手くはいかなかったんだ ゆっくりと菊が後ろへと倒れる姿がスローモーションで見える それを俺が追うように倒れる しまった。と思うより、このあとどうしよう。と思う割合がだいぶ占めているのも事実 菊は俺を見上げたまま、どうするんだ。と目を薄めた 「お・・俺は菊を抱きたい」 いやそんなことが言いたかったわけではなくて。言ってから後悔とはこういうことか ハッとして唇を噛み締めてから、顔全体が熱をもった気がする 今にも泣きそうなほどに目頭も熱い 「アーサーさん」 「…すまない、変なことを口走ってしまった」 「いえいいんですよ。でも、私に抱かせて下さいね」 「ああそうだな………はっ!?」 「もうさっきからアーサーさんてば可愛くて」 「何を言っているんだ…」 「照れたり笑ったり泣いたり忙しい人ですね」 頭にトン。と響くような低い声。その声はとても落ち着いて心地いい 菊の表情は泣くのを我慢しているようで、目尻が下がっている 謝る俺とは対照的に、口を開いた菊からは小さい笑いが漏れた くつり。と喉を鳴らす音 なぜ。そう思えば菊の手が頬を撫でた 少し毀れた涙を拭いさると、すぐに手が離れる 菊の表情を伺うように視線を向ければ、顔がとても近くへと寄る 思わず後ろに体ごと引けば、そのまま菊が被さるように押し倒してくる 「安心して下さい?回数が少なくとも、蜜は濃いですよ。ふふ」
2009 4 12 2009 10 3 加筆修正