蜂蜜の味

「波兄」 「なんですか?」 「舌出して」 波兄の舌に唇を寄せれば、思い切り噛みついた 痛みに波兄が慌て、俺を押し倒すように離した 涙をためた目尻に無意識に口元に笑みがこぼれた あの波兄が顔を歪めてゾクゾクと感じた 「なんれすかいきなり」 「噛みたかった」 「は?」 「波兄の舌って甘くて美味しいんだ」 「……」 俺の上に跨る波兄を見上げた キスをしたら甘くて甘くて蜂蜜みたいに溶けて消えて、離れると口寂しい だから噛みちぎってでも舌を味わいたい 「そんなにしたいなら言いなさい」 「噛みたいって?」 「違うでしょう?」 「…痛みがなくなるまで、舐めたい」 好きだから俺だけのであってほしい
2009 7 26